TOJISHA-UDについて

設立の経緯

日本の福祉のまちづくりにおける当事者参画、当事者運動の歩みは、1970年代後半の道路の段差解消、リフト付きバス、駅のエレベーター設置運動、車いすトイレの設置、その他さまざまなコミュニティ施設へのバリアフリー化から始まりました。その後長い年月を経て、1994年にハートビル法、2000年に交通バリアフリー法が制定され、2006年国連障害者の権利条約が制定された同じ年にハートビル法と交通バリアフリー法を統合した現在のバリアフリー法が成立しています。

2013年の東京オリンピックパラリンピック競技大会の招致決定以降は、大会開催国としてのインクルーシブな都市環境整備が求められ、当事者参画の機運が一気に盛り上がりました。2018年には権利条約でテーマとなった「障害の社会モデル」の理念を踏まえた改正バリアフリー法が公布され、障害者等が施設やまちづくりの計画、設計段階から関わる整備プロセスが市民権を得たといえます。(参考文献:バリアフリー年表リンクへ、髙橋の公表論文、著書等を使用)

この間、権利条約の理念を踏襲し、公平性、尊厳、機能性を掲げた国際パラリンピック委員会(IPC)のアクセシビリティガイドラインは当事者参画の活動に大きな後押しとなりました。国立競技場や大阪・関西万博施設をはじめ、空港、公共交通機関、宿泊施設などのインフラ整備、情報やサービス、文化活動に対しても重要な示唆を与え続けています。

こうした状況を経て、東京都福祉局は2024年3月に、は国土交通省住宅局は2025年5月に、公共施設や建築プロジェクトにおける当事者参画の具体的なガイドラインを相次いで発出しています。私たちTOJISHA-UDプラットフォームの設立にかかわった関係者の多くもこれらの法制度やガイドライン作成に深く携わってきたことから、より一層建築プロジェクトの当事者参画の推進を後押しするために「TOJISHA-UDプラットフォーム」を設立するに至りました。

(参考文献:東京都、国交省リンクへ)

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私たちが解決する課題:設計の「質」を高める人材のネットワーク

現在、当事者参画を推進する上で最大の壁となっているのは、実効性のある対話ができる「人材の確保」です。

  • 当事者: 自身の経験を設計者に伝えていく視点
  • 設計者・研究者: 多様なニーズの存在を認知し、技術的に統合できる専門性
  • 行政: 当事者参画の必要性を認識し、制度と現場を繋ぎ、継続的な仕組みをつくる調整力

当プラットフォームは、これら多様なプレイヤーが結びつき、学び合う場を提供します。単なる基準の遵守にとどまらず、誰もが使いやすく、誇りを持てる建築物を社会に増やすことを目的としています。

主な活動と目的

  1. 参画プロセスの支援: 国交省ガイドラインをはじめ独自の経験に基づいた、実効性の高い当事者参画の手法をアドバイスします。
  2. 人材育成・確保: セミナーやワークショップを通じて、当事者参画の意義を理解し、現場で活躍できる人材を輩出します。
  3. ナレッジの集約と発信: 各地の成功事例や知見をプラットフォームに集約し、建築設計の質の向上に寄与します。

TOJISHA-UDプラットフォームが目指すもの

1.建築と当事者を繋ぐ「架け橋」

建築プロジェクトにおける当事者参画はまだ経験者が少なく、多くの現場で「どう進めればよいか」という戸惑いがあります。私たちは、当事者・発注者・設計者の間に立ち、参画のきっかけづくりとスムーズな橋渡しを担います。

2.現場の「不安」を「納得」に変える

「工期や費用への影響は?」「図面の理解や合意形成はどう進めるのか?」といった実務上の疑問や不安に対し、適切な指針と解決策を提示します。単なる理想論ではなく、現実的で質の高いユニバーサルデザイン(UD)を実現するための相談窓口となります。

3.三者の共創による新しい設計プロセスの確立

以下の3つの力を結集し、当事者団体、国土交通省。地方公共団体、建築設計団体と連携しながら、全国各地で当事者参画が「当たり前」になる社会を目指します。

  • 行政の計画力と判断力: 仕組みづくりと実効性の担保
  • 当事者の主体的行動力: 生活実感を伴う視点の提供
  • 設計者の想像力と問い: 技術とニーズを統合するクリエイティビティ

4.具体的な方向性(アクション)

  • 知見の共有: 当事者参画の意義と目的を広く発信し、共通認識を育てます。
  • 調査・研究: 全国から集めた好事例を分析し、再現可能なモデルを構築します。
  • 学びと相談の場: 誰もが参画の手法を学び、個別の課題を解決できるプラットフォームを運営します。

皆さまへのメッセージ

だれもが自分らしく、心地よく利用できる建築物を実現するためには、設計の初期段階から多様な視点を交える「共創」が欠かせません。この新しい建築文化を共に創り上げていくために、多くの皆さまのご参加とご協力を心よりお待ちしております。

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